裏道で見つけた、「街フレンチ」という答え

名前
ジョンさん
会社名
ビストロ Urushi
インタビューの核
裏道で見つけた、「街フレンチ」という答え
取材のエッセンス
20年来のベテランシェフが語る、持続可能な飲食店経営。
高級路線を避け、地域に寄り添う独自のスタイルで売上アップを実現。
表通りを避けた"裏道戦略"と、変化を恐れない柔軟な経営から見える、成功の本質とは

「街フレンチ」という生き方 ー 20年続く理由がここにある

やたっち道場・矢田が行く!成功し続ける飲食店に共通すること

プロフィール

最初のお店から20年来の付き合いがある仲間、「ビストロUrushi」のオーナーシェフのジョンさん。
本名は漆畑直人さん。静岡生まれの生粋の日本人だが、昔の仲間からは(なぜか?)親しみを込めて「ジョンさん」と呼ばれている。
本郷三丁目で、独自の「街フレンチ」を展開する61歳の個性派シェフだ。
年齢を感じさせない接客と柔軟な発想で、地域密着型の店づくりを実現している。

「お客さんからすると、まだまだ50代に見えるんですよね(笑)」という声が印象的だった。

「街フレンチ」って何だろう?

「フレンチって、お高いイメージありますよね。でも、うちは違うんです」

ジョンさんが目指すのは、近所の人が気軽に立ち寄れる街のフレンチ。
ランチタイムは周辺のビジネスマンで賑わい、夜は地域の方々の集いの場になっている。

私(矢田)も長年飲食店を経営していますが、このスタイルには驚かされました。
フレンチという枠にとらわれず、地域のニーズに寄り添う。
その柔軟さこそが、長く続く秘訣なのかもしれません。

裏道戦略で乗り切った開業期

目黒区の「碑文谷」の店の取り壊しにより現在の場所に移転。しばらくは集客には相当苦労したそう。
でも、その選択が今につながっている。

「このエリアではネームバリューがなかったんで、お客さんの集め方には本当に苦労しましたね。
でも、一本裏に入ることで家賃を半分近く抑えられた。それが大きかったですね」

この戦略、実は私も共感するところ。
表通りの高額な家賃に縛られないことで、経営の自由度が格段に上がるんです。

コロナ禍での機転

「以前の碑文谷の店では、近くの裁判所にお弁当を配達してたんです。
コロナになって、むしろ需要が増えて。それだけで一日50食以上出てました。
そのおかげで、なんとかコロナ騒動も乗り切れましたね。」

危機をチャンスに変える。
この柔軟な発想と行動力には、同じ経営者として本当に感心させられます。

成功のターニングポイント

現在の店舗での成功は、地域特性をうまく活かしたことから。

「周りに医療関係や出版関係の会社が多くて、大学も近い。
ランチタイムから満席になって。そこからクチコミで広がって、
近所の奥様やママ友たちも来てくれるようになった」

一年半かかったそうですが、この地道な積み重ねが、今の安定した経営につながっているんですね。

これからの夢

「朝はカフェ、昼はランチ、夜は予約があれば営業って感じのスタイルを考えてるんです」

奥様と一緒に、新しい形の店づくりを目指すジョンさん。
年齢と共に無理のない営業スタイルを模索する姿勢に、先輩経営者としての深い知恵を感じました。

長く続く理由

話を聞いていて印象的だったのは、お客様との会話を本当に楽しんでいる様子。
「美味しかった」という言葉がなによりの喜びだと語るジョンさんの目は輝いていました。

私も飲食店を長く経営していますが、
この「お客様との関係性を楽しむ」という部分は、
成功する店舗に共通する重要な要素だと改めて感じました。

取材を終えて

20年以上の経験から導き出された経営哲学は、シンプルだけど深い。
「無理せず」「楽しみながら」「地域に寄り添う」。
新規参入を考える方々はもちろん、
すでに経営されている方々にとっても、多くのヒントが詰まった取材となりました。

「家賃が高ければそれに縛られ、大きく営業すれば人手不足でもやられる。
リスクが低くて、うまい具合に乗り切れるスタイル、それが街フレンチなんです。」というジョンさんの言葉が、
今の時代の飲食店経営の本質を突いているように感じました。